監査済みの財務諸表でも、投資家にとって「安全な数字」とは限りません。売上の計上時期、引当金、減損、在庫、簿外債務、会計方針--わずかな前提の違いが、正常収益力、ネットデット、買収価格を大きく変えることがあります。PE投資で本当に必要なのは、会計基準への適合だけでなく、数字の裏側にある経済実態を読む力です。本書は、会計DDを「仕訳のチェック」から「投資判断の武器」へ変えるための実務書です。利益がどこまで再現可能か、将来キャッシュアウトがどこに潜んでいるか、資産価値に楽観が混じっていないか。経営陣の説明、監査資料、契約、月次推移、証憑を往復しながら、表面上きれいに見える数字を一段深く検証します。さらに重要なのは、発見事項をレポートで終わらせないことです。EBITDA調整、ネットデット調整、運転資本ターゲット、価格調整、表明保証、補償、エスクロー、クロージング条件--会計上の違和感を、ディールの条件へどう翻訳するかまでを視野に入れています。収益認識から不正兆候、契約への実装まで、会計論点を買手の視点で一気通貫に読み解きます。売上の計上時期、引当金の見積り、資産評価、減損、簿外債務、会計方針の変更。いずれも会計処理としては一見合理的でも、前提の置き方によって利益や純資産は大きく動きます。PE投資では、その差がそのままバリュエーション、ネットデット、価格調整、表明保証、補償条項へ跳ね返ります。本書は「会計基準を知る」だけではなく、「その会計判断が投資価値をどう動かすか」を読むための実務書です。会計DDでは、単一の仕訳だけを見ても結論は出ません。契約、請求、入金、売上計上、原価認識、在庫、引当、税務処理などを横断し、「なぜこの数字になっているのか」を追う必要があります。本書は、経営陣や経理責任者の説明をそのまま受け取らず、数値の裏側にある判断・見積り・内部統制へ踏み込む視点を重視します。さらに、発見事項を重要度順に整理し、買収価格で調整するのか、契約で守るのか、クロージング前に是正させるのか、買収後の100日プランで改善するのかまで考えるため、DDレポートが投資判断から切り離されません。DDの現場では、売上認識や引当金だけを個別に確認するのではなく、月次推移、期末前後の変動、前年差、予算差、監査調整、経営者による例外承認などを組み合わせて見ることが重要です。数字の急変には必ず理由があり、その理由が経済実態と整合しているかを確認することで、利益の質を一段深く評価できます。会計論点が見つかった場合は、単に「問題あり」と記載するのではなく、EBITDA調整、ネットデット調整、運転資本ターゲット、補償、エスクロー、クロージング条件など、どのディールメカニズムで処理するかを選ぶ必要があります。本書はその翻訳までを意識しています。買収後には、DDで見つけた会計方針のばらつきや内部統制上の弱点を、月次決算、権限規程、監査対応、KPI管理へ引き継ぐことができます。投資前の分析を「レポートで終わらせない」ための視点も得られます。 Read more